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私だけを見てよ。

第1章 始まり。



就職して一週間が経った頃、

絢美は外来の処置室前を通っていた。

退院した患者さんの忘れ物を渡すために

玄関で待ち合わせをしていたのだ。


ある男性スタッフとすれ違った時、

柑橘系のような爽やかな香りがふわっと残る。


『あ、この匂い…何の柔軟剤だろ?』


なんて無意識に思った。

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