桜の夢
第9章 体育
更衣室に帰ると、もう誰もいなかった。
もう、先生のせいで帰るの遅くなっちゃったよ!
私は自分の荷物の元へ向かう。
私の制服が見るも無惨に切り刻まれていた。
「なにこれ…酷い…」
珠理が声をあげる。
「誰がこんなことを…」
真緒ちゃんは今にも泣きそうな顔で言う。
「心愛!」
小百合は私に抱きついて、私の頭を撫でる。
「大丈夫だから!負けちゃ駄目だよ!」
最早、何が勝ちで何が負けなんだろう。
どうして、怒りが湧いてこないのだろう。
どうして、こんなに悲しいんだろう。
何も分からなかった。