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南の龍

第16章 気持ち


刻は10分もしないうちに私の家に来てくれた。

ソファの上に座りながらうずくまっていた私を刻は抱き締めた。


私の涙を拭わないのはきっと泣いていいっていうことなんだろう。

何も聞いて来ないのはきっと刻の優しさなんだろう。


……こんな優しい刻を好きにならない理由がない。

刻を拒絶したのはきっと好きだったから。

気づきたくも、誰かに気づかれたくもなかったから。

その理由は分からないけど、多分私が意地っ張りで、プライドが高かったから。


私、刻が好きだ。


もう、気づいた。

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