南の龍
第9章 祭り
私が刻を凝視していると、輝と瑠樹が戻ってきた。
「いや、さっきはごめん!」
瑠樹は私に近づきながら謝ってきた。
「元カノに似ててさ!しかも名前まで一緒だったとは」
「……」
瑠樹はにこにこ笑っている。
「でも、よく見ると全然違うわ」
「……」
「身長ももっと高いし」
「……」
「あっ、未練とかないからな!彼女ちゃんといるし」
「……」
…未練あるんじゃないのか?
なんで、そんな泣いたあとみたいな顔なんだよ。
なんで、今にも泣きそうな顔なんだよ。
なんで、作り笑いなんだよ。
「だからさっきのことは気にすんな」
「……分かった」
……すごい気になるよ。