
麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】
第5章 天上の苑(その)
「そうか? 艶やかでいながら、無垢なところさえも似ている。私には、出逢ったそのときから、ずっと、そなたがこの蓮の花のように思えてならないよ」
その何げない言葉は、浄蓮の心を自分でも思っていた以上に揺さぶった。
世間は、父を見棄て、寄る辺を失った罪人の子と浄蓮を白い眼で見た。そんな世間をひたすら憎み、恨んできた自分には、あまりにも相応しからぬ科白であった。
もしかしたらと、その時、浄蓮は思った。
蓮の花は、濁った場所で育つからこそ、逆に信じられないような美しい、穢れなき花を咲かせるのではないか。
浄蓮は、三日前にかいま見た明月の双眸を思い出していた。梁ファンジョンの手前、明月はファンジョンを侮辱した浄蓮の頬を打った。あの静かな瞳をした明月は、まさに蓮の花そのものではなかったか。
苦界という女の生き地獄に身を堕としながらも、すべての感情を超越して、なお凜として花ひらく気高き一輪の花。まさに、そのように見えた。
数々の修羅場を経て、哀しみを乗り越え、生きる歓びさえ心に秘め、したたかに生きる妓生は、苦界という濁った池の中で艶やかな花を咲かせるのだ。
浄蓮が言い知れぬ想いに囚われていたそのときだった。
その何げない言葉は、浄蓮の心を自分でも思っていた以上に揺さぶった。
世間は、父を見棄て、寄る辺を失った罪人の子と浄蓮を白い眼で見た。そんな世間をひたすら憎み、恨んできた自分には、あまりにも相応しからぬ科白であった。
もしかしたらと、その時、浄蓮は思った。
蓮の花は、濁った場所で育つからこそ、逆に信じられないような美しい、穢れなき花を咲かせるのではないか。
浄蓮は、三日前にかいま見た明月の双眸を思い出していた。梁ファンジョンの手前、明月はファンジョンを侮辱した浄蓮の頬を打った。あの静かな瞳をした明月は、まさに蓮の花そのものではなかったか。
苦界という女の生き地獄に身を堕としながらも、すべての感情を超越して、なお凜として花ひらく気高き一輪の花。まさに、そのように見えた。
数々の修羅場を経て、哀しみを乗り越え、生きる歓びさえ心に秘め、したたかに生きる妓生は、苦界という濁った池の中で艶やかな花を咲かせるのだ。
浄蓮が言い知れぬ想いに囚われていたそのときだった。
