麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】
第5章 天上の苑(その)
「それで、一体、何をおっしゃりたいのでしょう。私には、皆目判りませんわ」
ジスンの陽に灼けた貌に狼狽が走った。
「怒らないで下さい。何もあなたを怒らせるために、わざわざ成均館(ソンギユンカン)から来たわけではないのですから」
「成均館? ジスンさまは成均館の学生なのですか?」
ええ、と、このときばかりはジスンも少し誇らしげに胸を張って応えた。
成均館とは、一三九八年に設立された国の最高教育機関であり、未来の朝鮮を担う官吏となる人材養成を目的としている。
入学希望者は多いが、入学資格を得る選抜試験はかなりの難度であった。その難関を突破して日々、勉学に精進している成均館儒生と聞けば、眼の前のこのむくつけき男の好感度も急上昇するというものだ。
最も、本人には悪いが、そんな秀才には到底、見えない。
浄蓮がそんな失礼なことを考えているとも知らず、ジスンは軽く居住まいを正した。
「あまりに話しにくいことなので、つい前置きが長くなってしまった。失礼を許して下さい。実は、任準基が亡くなりました」
「―」
浄蓮は惚けたように口をわずかに開き、ジスンを眺めた。
ジツハ、イムジュンギガナクナリマシタ。
言葉だけが空回りし、全く意味をなさない。
「あの、それは何かの間違いではありませんか? 準基さまとは、ほんのひと月前にお逢いしております」
ジスンの陽に灼けた貌に狼狽が走った。
「怒らないで下さい。何もあなたを怒らせるために、わざわざ成均館(ソンギユンカン)から来たわけではないのですから」
「成均館? ジスンさまは成均館の学生なのですか?」
ええ、と、このときばかりはジスンも少し誇らしげに胸を張って応えた。
成均館とは、一三九八年に設立された国の最高教育機関であり、未来の朝鮮を担う官吏となる人材養成を目的としている。
入学希望者は多いが、入学資格を得る選抜試験はかなりの難度であった。その難関を突破して日々、勉学に精進している成均館儒生と聞けば、眼の前のこのむくつけき男の好感度も急上昇するというものだ。
最も、本人には悪いが、そんな秀才には到底、見えない。
浄蓮がそんな失礼なことを考えているとも知らず、ジスンは軽く居住まいを正した。
「あまりに話しにくいことなので、つい前置きが長くなってしまった。失礼を許して下さい。実は、任準基が亡くなりました」
「―」
浄蓮は惚けたように口をわずかに開き、ジスンを眺めた。
ジツハ、イムジュンギガナクナリマシタ。
言葉だけが空回りし、全く意味をなさない。
「あの、それは何かの間違いではありませんか? 準基さまとは、ほんのひと月前にお逢いしております」