
麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】
第2章 麗しの蓮の姫
「若さま、腕をお放し下さいませ」
浄連はもう一度だけ、丁重に頼んだ。
こんな優男の一人や二人、すぐに手を捻り上げられるが、仮にもか弱い少女のふりをしている身だ、おいそれと本気を出すわけにもゆかないのが辛いところである。
「どうだ、素直に俺の女になると約束するか?」
全く、戯れ言も顔だけにして欲しい。
浄蓮は深い海の底に棲まうという深海魚さながらに、滑稽な面体をしたファンジョンの容貌を横眼で見ながら、思わず忍び笑いを洩らした。
「な、何だ? 人が真面目に口説いているのに、思い出し笑いをするとは」
ファンジョンの醜悪な顔が怒りに紅く染まった。
まずい。少し気を緩めすぎたかと後悔する。だが、こんな下衆男、たとえ仇の息子でなかったとしても、浄連が女であったとしても、ご免蒙りたい。自分には何の力もないくせに、親の威光を借りて威張り散らすだけの中身のない薄っぺらな男だ。浄連の最も嫌いな類の男である。
「まあ、若さま。口説くのと、脅迫する、或いは脅すというのが実は全く同じ意味を持つ行為だとは、学のない私は愚かにも存じませんでした」
浄連も堪忍袋の緒が切れた。こんな低俗な男にここまで貶められて、よくぞここまで我慢できたものだと我ながら褒めてやりたい。
浄連はもう一度だけ、丁重に頼んだ。
こんな優男の一人や二人、すぐに手を捻り上げられるが、仮にもか弱い少女のふりをしている身だ、おいそれと本気を出すわけにもゆかないのが辛いところである。
「どうだ、素直に俺の女になると約束するか?」
全く、戯れ言も顔だけにして欲しい。
浄蓮は深い海の底に棲まうという深海魚さながらに、滑稽な面体をしたファンジョンの容貌を横眼で見ながら、思わず忍び笑いを洩らした。
「な、何だ? 人が真面目に口説いているのに、思い出し笑いをするとは」
ファンジョンの醜悪な顔が怒りに紅く染まった。
まずい。少し気を緩めすぎたかと後悔する。だが、こんな下衆男、たとえ仇の息子でなかったとしても、浄連が女であったとしても、ご免蒙りたい。自分には何の力もないくせに、親の威光を借りて威張り散らすだけの中身のない薄っぺらな男だ。浄連の最も嫌いな類の男である。
「まあ、若さま。口説くのと、脅迫する、或いは脅すというのが実は全く同じ意味を持つ行為だとは、学のない私は愚かにも存じませんでした」
浄連も堪忍袋の緒が切れた。こんな低俗な男にここまで貶められて、よくぞここまで我慢できたものだと我ながら褒めてやりたい。
