麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】
第2章 麗しの蓮の姫
「さりながら、そなたはたった今、自分のことを金で縛られた身だと申したではないか!」
どうやら、この男は本気で怒っているらしい。
浄蓮はますます困惑した。
初めて出逢ったばかりの男が何故、ここまでムキになるのか判らなかったからだ。
浄蓮は仕方なく翠月楼に来た真の理由を話した。
「たとえ最初はお金を頂くつもりはなかったにせよ、ひとたび頂いたからには、それに見合うだけの働きはしなければなりません。だから、私は先ほど、お金で雇われた身だと申し上げたのです。旦那さま、何をどのように勘違いなさっているのかは判りませんけれど、私は誰に強制されて、ここに来たわけではありません。自分が翠月楼で働きたいと思ったから、ここで雇って頂きました」
「何と―、そなたは、この見世が妓房だと端から承知で来たというのだな」
準基は幾度も首を振った。
「よもや、妓房がどのような場所が知らぬわけではあるまいに」
当然だとばかりに頷く。
「それはもちろん、私だって、判っていました。私は妓生になりたくて翠月楼に置いて貰うことにしたのですから」
準基が眼をまたたかせた。その切れ長の双眸が射るように大きく見開かれる。
「妓生になりたい? そなたは心底から、そのように思うているのか?」
この度の愕きは更に烈しいもののようで、単に自ら望んで翠月楼に来たのだと言ったときよりも強く彼を打ちのめしたらしい。
「そなたは妓生が何をするのかもすべて承知した上で、妓生になりたいと願ったというのか」
それは問いかけというよりは、自らに納得させるようにも聞こえた。
そんな準基の思惑まで、浄蓮は考えてみなかった。それは出逢ったばかりのこの若い男が浄蓮の妓房に来た理由に幾ら何でもそこまで執拗に拘っているとは知らなかったからだ。
どうやら、この男は本気で怒っているらしい。
浄蓮はますます困惑した。
初めて出逢ったばかりの男が何故、ここまでムキになるのか判らなかったからだ。
浄蓮は仕方なく翠月楼に来た真の理由を話した。
「たとえ最初はお金を頂くつもりはなかったにせよ、ひとたび頂いたからには、それに見合うだけの働きはしなければなりません。だから、私は先ほど、お金で雇われた身だと申し上げたのです。旦那さま、何をどのように勘違いなさっているのかは判りませんけれど、私は誰に強制されて、ここに来たわけではありません。自分が翠月楼で働きたいと思ったから、ここで雇って頂きました」
「何と―、そなたは、この見世が妓房だと端から承知で来たというのだな」
準基は幾度も首を振った。
「よもや、妓房がどのような場所が知らぬわけではあるまいに」
当然だとばかりに頷く。
「それはもちろん、私だって、判っていました。私は妓生になりたくて翠月楼に置いて貰うことにしたのですから」
準基が眼をまたたかせた。その切れ長の双眸が射るように大きく見開かれる。
「妓生になりたい? そなたは心底から、そのように思うているのか?」
この度の愕きは更に烈しいもののようで、単に自ら望んで翠月楼に来たのだと言ったときよりも強く彼を打ちのめしたらしい。
「そなたは妓生が何をするのかもすべて承知した上で、妓生になりたいと願ったというのか」
それは問いかけというよりは、自らに納得させるようにも聞こえた。
そんな準基の思惑まで、浄蓮は考えてみなかった。それは出逢ったばかりのこの若い男が浄蓮の妓房に来た理由に幾ら何でもそこまで執拗に拘っているとは知らなかったからだ。