麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】
第2章 麗しの蓮の姫
もし、男だという秘密を持つ自分が妓生としてこの世界で生き残れるとしたら、方法はただ一つ。客とけして寝ないという鉄則を作り、貫き通すだけだ。
けれど、そんなことが果たして可能なのか? そういう想いは当然ある。本当は男だから、本気になれば、無理強いしてくる客を力で撃退することもできるだろう。だが、それでは駄目なのだ。あくまでも、相手の欲求をやんわりと自然に交わし、なおかつ、ある程度は客の男としての虚栄心を満たすやり方でなければならない。
容易くは落ちない難攻不落の女、気位の高い妓生。あの妓生は気に入った客にしか、けして膚を許さない。そういった評判がついて回るようになれば、しめたものだ。が、言うはやすし、行うは難しで、客を選べるほどの妓生にまでのし上がるのは途方もない刻と努力、更には運を必要とする。
それらの中のどれ一つが欠けても、不可能だ。
「どうか、もうお帰り下さいませ」
浄蓮はわざと硬い声音で告げた。できるだけ冷たい声だと聞こえるように祈りながら。
自分と拘わっても、この男には何一つ良いことはない。目下のところ、浄蓮の未来はいまだ不透明のままだ。自分の方から根を上げて妓房を出てゆく気はさらさらないが、女将に出てゆけと言われたら、これ以上居座れない。
けれど、そんなことが果たして可能なのか? そういう想いは当然ある。本当は男だから、本気になれば、無理強いしてくる客を力で撃退することもできるだろう。だが、それでは駄目なのだ。あくまでも、相手の欲求をやんわりと自然に交わし、なおかつ、ある程度は客の男としての虚栄心を満たすやり方でなければならない。
容易くは落ちない難攻不落の女、気位の高い妓生。あの妓生は気に入った客にしか、けして膚を許さない。そういった評判がついて回るようになれば、しめたものだ。が、言うはやすし、行うは難しで、客を選べるほどの妓生にまでのし上がるのは途方もない刻と努力、更には運を必要とする。
それらの中のどれ一つが欠けても、不可能だ。
「どうか、もうお帰り下さいませ」
浄蓮はわざと硬い声音で告げた。できるだけ冷たい声だと聞こえるように祈りながら。
自分と拘わっても、この男には何一つ良いことはない。目下のところ、浄蓮の未来はいまだ不透明のままだ。自分の方から根を上げて妓房を出てゆく気はさらさらないが、女将に出てゆけと言われたら、これ以上居座れない。