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第5章 戌原西地区の殺し屋
「気が滅入るだなんて、ひどいなあ。依頼があるたびに都道府県津々浦々の相手を拉致って、ユーリちゃんの前で殺すのがどれだけ大変なのか知ってる?」
「大変ならやらないでください」
「やだ」
そういって赤い舌をちろりと覗かせ、文芽は飄々と笑った。
「人殺しは俺の誇れる仕事だからさ、大好きなユーリちゃんにはそれを見届けて欲しいんだよ」
「そんな愛情表現はいりません」
淡々と返事をした悠理に、文芽は「だろうねー」と事もなげに頷いた。
どこまでが冗談なのかわからないその言動には、悠理は彼と再会するたびに振り回されていた。
