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××UnderDiary

第8章 「俺だけだ」



 その男は永井と名乗った。

 便利屋『Under Dogs』の永井といえば、西地区で知らない人間はいない。

 依頼内容によって額は恐ろしいほど上下するが、失敗はまずないといわれるほど、西地区では珍しく信用の高い男だった。

 そんな男が自分に何の用かと警戒する千尋へ、彼は自分のもとで働かないかと提案してきた。

 しかし、千尋はそれを即座に拒絶した。

 自由を好んで西地区へ居つくようになった彼に、誰かのもとで働くという行為はバカバカしく思えたのだ。

 すると永井はあっさりと引き下がり、彼のテリトリーから出て行こうとしたのだが――。

 そのとき、建物の戸口に一人の少女が現れた。

 それが千尋と悠理の初対面だった。

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