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紙ヒコーキ

第3章 出会い




すると、そのヒトも笑った。


品があって、穏やかな笑顔だった。


…また、違和感。

『ホントにごめんね。』


そのヒトは、さっきまでの笑顔から、一瞬で申し訳なさそうな顔になった。



『…いいんです!そもそも、ワタシが紙ヒコーキなんて作って飛ばしたのがいけないんですから…』



一瞬、そのヒトの雰囲気が変わったように思えた。



『紙ヒコーキ…?』


『はい。作るのが好きなんです。特に理由なんて、ないんですけど…』


私は、あはっと笑ってみせた。


『そーなんだ』


笑っているのに、笑っていなかった。

ずっと感じていた違和感。


なんだか、無性に腹が立った。



『…名前、なんですか?』

『え、俺の?』

『他に誰がいるんですか?』

『それも、そーだね』


そう言って、また笑う。


違和感。



『俺の名前は、村上 梓。三年。』


やっぱり年上か。

村上先輩…ね



『先輩、』

『ん?』


先輩は、優しい目で私を見ている。



それを見て、私は精一杯の作り笑いを浮かべた。



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