テキストサイズ

紙ヒコーキ

第3章 出会い




また、木々がざわめく。


2人の間に沈黙が続く。



(いきなり、初対面の後輩に嫌い宣言されても困るよね…)



私が謝ろうとしたときだった。


『…そっか。ははっ…ごめんね』


そう言って先輩は笑った。


そのとき、私の中でなにかが切れた。



『…!なんなんですか?先輩はなんでそんなに笑いたくないのに笑ってるんですか!?普通、初対面のヒトに嫌いって言われて、笑いながら謝りませんよ!?』

『……………』

先輩は笑顔をはりつけて、何も言わない。

私は、唇を噛んだ。
感情の向くままに言葉を発していた。


『…ホント、意味分かりません!そーやって、いつもヒトにホントの感情見せないんですか?そーゆーの見てると…』

『はい、ストーップ。』


急に、腕を引かれて口を抑えられた。


ばたばたと抵抗しながら、そのヒトをみた。



和哉だった。



『先パイ、すいません。こいつ、思ったコトすぐ言う…てか、一度言い出したら止まらない性格で…』


『…………』


先輩は、うっすらと笑顔をはりつけて、遠い目をしていた。



『んんんー!んんんんー!!』

離してと言ったつもりが、口を抑えられて上手く言えなかった。


和哉はちらっと私をみた。

そして、また先輩に向かって言った。



『ホント、すいませんっした。こいつも反省してるんで、許してやってください。』


いや、反省なんてしてないし。
てか、なんで許してもらわなきゃいけないの?



『んぢゃ、失礼しやした!』


そう言って、和哉は私の口から手を離して、私の腕だけ引っ張って、昇降口の方へと走り出した。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ