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掌の浜辺

第3章 夏 - cheer -

5.あのときのこと

人は人に助けられて支えられて生きているんだよね
落ちこんでいるときに声をかけてくれたりょうこさんと
今日いっぱいお話してくれたミエさんに感謝いっぱい


 「園田さん、その調子ですよ」
 「はい」
 後遺症がちっと残った。俺が遭った事故のことは親と医者から聞かされて知ったが、全然そこらへんの記憶がね-んだよな。大学向かってるとき、俺は自転車乗っててなんかブオオッて来て…いつの間にかここで寝てたし。スク-タ-に突進されて、俺は自転車ごと車道に飛ばされたらしい。幸い、そこの車道には車は通っておらず、歩道を歩いてたおばちゃんが救急車を呼んでくれたっぽい。そのときの俺は意識がなかったから、近くの病院じゃどうにもできないってなって、総合病院の遠い西海浜病院まで運ばれた。こんなに広い 区 なのに、総合病院が1つしかないってどうゆ-こと? って思うが。そんなこんなで俺は手術を受けて成功はしたものの、医者の言ってた通り、後遺症が若干残った。脳しんとうも起こしてたみたいで、歩くのにちっと支障をきたしちまった。そんなにひどい後遺症じゃないから1ヶ月真剣にリハビリしたら良くなるよって、先生に言われたからそれに従ってるだけ。めんどいが、しかたね-。早く退院して-し。病院生活は嫌いだからな。

 「いいですよ!」
 「はい……っ」
 ちっとフラッと来た。病院の壁にもたれかかる。頭痛ぇ。
 「ゆっくり、休み休み」
 「すいません」
 「謝らなくていいのよ。リハビリは大変なんだから」
 「どうもっす」
 「ちょっと休憩しよう?そこのソファ-に座ってさ」
 「はい」
 少し歩いて、2階のエレベ-タ-の近くにあるソファ-に腰を下ろす。はぁ。落ち着く。頭痛ぇけど。
 「なにか飲みものいる?」
 「いいっすよ」
 「遠慮しなくていいのよ?」
 リハビリ担当の笹井さん。女の人。
 「…したら、オレンジジュ-スで」
 「了解☆」
 つい甘えてしまう。大人の女性にはかなわん。

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