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掌の浜辺

第3章 夏 - cheer -

6.まとまること

相手の人になりきることってすごい難しい
私にはやっぱり真似できないって心から思う
平石さんってすごいことできる人なんだよね


 6月30日、火曜日、午前8時36分、メ-リングが届いた。



 小野里和也@野球同好会からメ-リングか届いています。

 件名:無題

 本文:園田が事故にあって病院に運ばれた。俺はかけつける



 「えっ…」
 何も言えない私たちーりょうこ、ゆうこ

 「…」
 見つめ合うふたりーケンイチさん、叶さん

 「は?!」
 理解できないー赤川さん

 「どうして…」
 心配と不安がいっぱいー平石さん



 小野里さんはナオトくんの病院に行っていたから、私たちからのメ-リングの返信ができたのは時間が空いたその日の夜だったみたいで。それまで、小野里さんとは連絡が取れなかった。

 事故の詳しいことはみんなで集まって話した方がいいって、小野里さんから提案。次の日のお昼休みに、いつも野球同好会の部会をしていた教室に私たち7人は集まることになって、今は詳しい話をされたところ。

 「お見舞い行こ?」
 「今はだめ。もう少し様子見。あいつも興奮気味だから」
 って言ったのは推測だってあとから小野里さんに聞いたけど、あのときはまだナオトくんのところに行かなくて正解だったと思う。彼、自分のことをかなり責めていたみたいだから。
 「落ち着いたら、何人かに分かれて行くようにしよ?その方がみんなで一気に行くよりいいと思うし」
 「そう、ですね」
 「わかりました」
 「あい」
 「うん。了解」

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