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掌の浜辺

第3章 夏 - cheer -

7.ひらくこと

ちょっとだけかもしれないけど光が射してきた
そんな雰囲気になってきている私たちのいる空間
これがチャンスに変わってほしいって願うだけ


 「ナオトくん?」
 「園田ぁ?」
 私たちの呼んだ声。ナオトくんはベッドから手を振った。
 「よっ」
 「お見舞い♪はい、これ!」
 カットフル-ツとカステラを差し入れする。冷たいお茶も添えて。
 「どうもな」
 「いいのいいの!どう?体の方は」
 「ちょっとずつ良くなってる。ま-、まだしばらくかかるけど」
 「今日いつもに増して普通の話し方だね。なにかあった?」
 リハビリ担当の笹井さんが気になってるなんて言えね-からテキト-に繕う。
 「あんまり寝れてね-んだよ。病院生活はもうこりごりだし」
 「園田、昔病院生活してたの?」
 「ガキのころな。トラウマっつ-か、そのころの気が抜けね-んだよ」
 「そっか。ごめんね、こんなときに」
 私、ゆうこは黙ったまま何も話せなかった。そうしていた方がいいのかも、って思ったから。なのに。
 「てかゆうこりん静かだな」
 「なんでもないよぉ…(´・ω・`)」
 「ま-あまり詳しく聞かね-が」
 「うん」
 「寝れてないならゆっくりしな?私たちはこれで失礼するね」
 「ん」
 「じゃ、またねっ!」
 「またね?」
 「じゃ-な」

 この日のあとも、みんなで分かれながらナオトくんのお見舞いに行ったりした。そして、無事に退院。でもすぐ大学のテストが始まったから、退院のお祝いは来月にすることになって。それで今日がその日だった♪ なんだけど、平石さんはどうしても外せない予定があって。お祝いできなくてごめんって伝言を小野里さんに伝えていたみたいだけど、ナオトくんは気にしていなかったからよかった。

 その飲み会で、みんなで決めたこと。
 【文化祭に有志で出展しよう!】
 【4年生が卒業する前にみんなで野球をしよう!】

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