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ひと夏のアバンチュール

第6章 空の彼方のママ

サラ

ケンの母親
僕が愛した最後の女性

ケンを産んだのを見届けて
遠くに旅立ったサラ

身寄りのない2人
出会ったのはニューヨーク


愛しあうのに時間はかからなかった

妊娠した時
やっと家族が出来るって
泣いて喜んだ

なのに神様は残酷だ
いや僕たちに神はいない

サラに悪性リンパ種が見つかった

医師は堕胎を勧めた
僕もそう願った

なのに君はそうしなかった

自分の生きた証しを残したい

そう強く望んだ


大きくなるお腹
日に日に弱る君

守りたかった

君が選んだ僕たちの宝物を

君が守るように
僕はこの手で2人を守るんだ


その日から
思いっきり笑ってたね

君も
いつも微笑みを絶やさなかった

苦しくても
痛くても

全く分からないように
笑ってたね

たった1年だったけど
僕の人生すべてを君に捧げ
僕の持ち合わせている
愛は全部出し切ってしまったよ

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