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井上真緒編

第3章 3

最後に真緒が言った言葉には、チアキは驚いた。なぜかといえば、それは自分が疫病神だったからだ。というより、貧乏神といったほうがいいかもしれない。貧乏神のくせに、神を名乗るのには、貧乏神にも神がついているという単純な理由からだろう。到底他人に胸を張れるような話ではない。しかし、貧乏神のチアキに取り憑かれていることが分かったというのは、決して悪くはなかったかもしれない。原因が分からないまま、不幸が積み重なり、体調が悪くなっていくのでは、精神的な負担も大きくなったはずだ。ただ、真緒は、チアキを地縛霊と勘違いしていた。引っ越しさえすれば、問題は解決すると思っていたようだった。それもあって、真緒は、堂々と風呂にも入っていた。なかなか普通の人間にはできないことだ。しかし、それは勘違いであって、真緒は更に、チアキに苦しめられることになるのだ。

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