井上真緒編
第4章 4
そういわれて、とりあえずは、向こうと価格の交渉をしたが、多少の開きがあった。もちろん、この間相手の言い値を聞いていたので、こちらは分かっていたが、向こうはもう少し何とかならないかという話をしてきた。それなのでもう一度、見当はするといった。その交渉が終わって、真緒と田中は、駅前の不動産屋で、いくつかの物件の見出しを見て、だいたい自分たちが、考えてたのと同じぐらいだと思った。田中は、中に入っていって、駅前でいいところはどこですかといって、社員を表まで引っぱり出して話を聞いた。その社員は、あの商業ビルだったら、いくらぐらいというような話を客だと思ってしてくれた。田中はその社員を寿司屋に誘って、更に話を聞いたが、向こうが、こっちは客ではなくて、リフォーム会社だというのを知ると、なんだよという顔をした。それで、最後に、真緒たちが交渉している物件の話を聞いたら、あまり知らないとは言ったが、いくらぐらいだろうという話はしてくれた。それが正しいかどうかは分からないが、会社のほうの情報とそれほど違いはなかった。それと、価格は下がり気味だというのも、会社と同じだった。