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パパはかわら版

第5章 パパはかわら版D

初江「ああ、あそこだ。やっとついた」
幸江「へえ、まあまあの家じゃない」
良江「一軒家ですね。お金持ちでしょうか」
幸江「お金持ちってほどではないんじゃない。で、どうするの」
初江「ええ、どうするって」
幸江「もう、これで終わりでしょう。まさか、ずっとここで、はってんの」
初江「まさか。でてくるかどうか分からないのに」
幸江「ああ、よかった。こんなこと2度としたくない」
良江「それじゃ、買い物にいきますか」
幸江「そうね」
3人は、買い物をして家に帰っていった。食事は、朝だけ、橋龍と一緒に食べることになっていたが、夕ご飯は、自分らで作って食べていた。ときどき、隣の勇一に教わりながら作っていた。今日も、3人は、一緒に夕ご飯の支度をした。

勇一「みなさん、だしの取り方はうまくなっていますよ」
幸江「ほんとうですか」
勇一「ほんとうに。これだったら、何を作っても、ある程度のものにはなります」
初江「よかった。それじゃあ、今度パパに食べてもらおう」
勇一「パパ」
幸江「おじさんにね」
勇一「うまく作れるようになったら、橋龍さんが食べてくれるんでしたっけ。しかし、これを何年か続けないとおいしいものにはなりませんよ」
初江「ええ、何年も」
勇一「そうですよ。みなさんが食べるぐらいだったら、これぐらいでかまいませんが、橋龍さんが食べたいと思うかどうか」
初江「そうよね。私達が一生懸命作っても無駄だと思うよ」
良江「初江さん、それはないんじゃないですか。この間みんなで決めたばかりですよ。どっちにしろ、毎日自分たちの分は作らなくちゃいけないんですよ」
初江「わかっているよ。でも、パパは食べてくれないっていっているの」
勇一「さっきから、そのパパというのはなんですか」
幸江「ああ、おじさんのことを時々パパとよんでいるんです」
勇一「んん、そうですか。とにかく、気長に作るしかありませんね。このおみそ汁なかなかうまいじゃないですか」
良江「ほんとうに、おいしいですね」
初江「でも、ほとんど、作ってもらったに近い」
幸江「まあ、いいじゃない。そのうちうまくなるよ」
勇一「そういえば、今日は勇作はまだ帰ってきてませんが、みなさん知ってますか」
良江「寺子屋にはいましたよ。私達は、帰りに買い物に行ったので、その後は知りません」

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