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天海有紀編

第1章 1

「あ、作造さん、、、作造さん。、、、、ん。何、今のは、夢」

有紀は、すぐに辞書で調べた。

「吉野作造、吉野作造と、、、、、え、民本主義。、、、私どうしたんだろう、、、」

有紀は、最近、やたらと疲れるのが気になっていたが、夢に、歴史上の人物が出てくるようにまでなってしまったことに愕然とした。それも、吉野作造だ。民本主義っていったい何なんだろうと思うとまたそれがやたらと気になるたちだった。天海有紀は、誰もが認める超一流の女優だ。宝塚を退団した後、女優に転身して、そしてまた大成功を収めていた。自宅は、渋谷にあったが、小さなビルを買って、そこが自宅兼事務所になっていた。天海が住んでいるのは4階で、事務所は3階にあった。1階と2階は、貸し物件になっていたが、1階に入っていたパン屋と2階に入っていた和食屋は、最近つぶれてしまった。経済危機なのだから、それほど珍しいことではないかもしれないが、1階と2階がまるっきり空いてしまっていたのだ。天海もこのビルをただで買ったわけではないのだから、できれば埋まってくれることに越したことはなかったが、しかし、常にドラマでも主役を張っている女優にとっては、それほど負担になることでもなかった。

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