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向かいのお兄さん

第3章 目の前で




『やだー入んないでよー(泣)』


あたしは涙ながらに頼んだが、鬼畜は遠慮なしに家中を散策し回り

とうとうあたしの部屋を見つけた




「あ、意外と綺麗な部屋」




意外とってどういう意味ですかねー?





『出てって』




「まだ出ない」




鬼畜はボスンッとベッドに腰を下ろし、あたしの部屋を見回した




「美咲、だよな?」




『何で知ってんの…?』




「同僚に聞いた」




そいつをここへ連れて来い



あたしがそいつを殴ってやる






「なぁ、美咲」



『呼び捨てやめろ』



「美咲ちゃん?美咲っち?ミサミサ?…やっぱ美咲」




もう勝手にしろ






「俺の名前、知ってる?」




『知るか、知りたくもないわ、鬼畜が』





「鬼畜鬼畜ってお前なー…俺は神崎直也(カンザキ ナオヤ)って名前があんだよ」





『知らね知らね』




あたしは耳をパコパコと塞いだ




「一回名前呼んでよ」




『嫌じゃ嫌じゃ嫌じゃ』





チャリ…と携帯を見せられる






『…直也…』




「そうそう♪」





泣けるー


このままじゃあたし、本格的にこいつの言いなりじゃないっすかー!!??





『そ…そういえば…今日は仕事ないの…?』




「日曜は休みだ」




さよか





「美咲、ちょっとこっち来い」



命令かよ
ちくしょー




あたしは仕方なく鬼畜…いや、直也のそばまで歩いた








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