向かいのお兄さん
第14章 影
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「…遅い」
直也は勢いをつけて、ベッドから起き上がった
かれこれ20分は経っている
〇〇駅なら、ここから10分もあれば間に合う距離だ
「…ったく」
直也はもう一度、美咲に電話をした
しかし数秒すると、電話を切られてしまった
「…は?」
もう何度かかけ直したが、あとは全部通じなかった
「…」
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男は部屋の鍵を開けた
「入って」
そうは言われるが、あたしは入ろうとしない
苛立ちを表情に出しながら、男はあたしを中へと引っ張り込んだ