向かいのお兄さん
第14章 影
「な、何だよ、突然入ってくんな!!」
男の体はあたしから離れ、直也の方を向いた
あたしは急いで体を起こし、そばにあったシーツで体を隠した
「…」
直也は男と向かい合った
睨みつけてくる直也に、男も少し尻込みする
「か…神崎…、お前はいいよな、いつもいつも適当なくせに、うまい飯食いやがって…」
「何で俺の名前知ってんだよ?」
「は…?知ってるも何も、同じ職場で働い…」
「そんな粗チンは俺の同僚にはいねぇんだよ!!!!」
バキィッ!!
と、直也の拳が男の顔面に入った
「ぐはっ!!」
男は顔を押さえたまま、床を転げ回った
鼻血だろうか
手の隙間からは血が滴り落ち、男は茫然とした
「失せろ」
「っひぃ…!!」
男はガチャガチャとズボンを履きながら、走って部屋を出て行った