向かいのお兄さん
第14章 影
『間一髪もくそもない!!
あたしはあいつにイカされたし、きっと今頃は馬鹿みたいになってた!!』
何言ってんの…
あたし…
『全部あんたのせいなんだ!!こんだけ怖い思いしたのも、こんだけ悲しい思いしたのも…こんだけ…』
こんだけ…直也が来てくれるんじゃないかって
思ってしまったことも…
「全部…俺のせい…?」
直也はあたしの手を取った
引っ張ろうとしたのかな
力を入れられると、腕全体に痛みが駆け抜けた
『っ…!!』
あたしはその痛みに耐え切れず
直也の手を払いのけた
「…どうしたの」
肩を押さえるあたし
同情してほしいなんて、これっぽっちも思ってない
でも
腕が痛むんだ…