向かいのお兄さん
第1章 あたしという人間だもの
静かで真っ暗な外とは対照的に、うるさくて明るい部屋が、あたしの空間
『はっ…ぁああっん…あ、だめぇええ!!///』
ひとり絶頂を向かえた後、息を切らして全身の力を抜く
『はぁ…///』
まただ
またやっちゃった
こうやってあたしは、毎回後悔するんだ
この部屋の天井は、もう嫌というほど見た
それもひとりっきりで
『…彼氏ほしぃ…』
一度、セックスしてみたかった
自分でいじくり回すんじゃなくて
誰かの手で
あたしを
抱きしめてほしかった
『…』
自分の額に手を乗せ、考える
とりあえず今年は…彼氏はなし
だって、受験生だもん
行きたい大学行ってから、彼氏の一人や二人作って
好きなだけウハウハしてやるんだい
そんなあたしは、世間体のいい女子高生
家から出れば、すぐにいい子ぶってしまう
こんなやらしい裏表が大嫌いで
あたし自身も大嫌いだけど
これがあたしという人間だもの