向かいのお兄さん
第19章 心から
『よっしゃー!!!』
「え?」
あたしは直也の手を払い
立ち上がって勉強道具を片付け始めた
「み…さき…?」
問題集も筆箱も、みんな鞄に放り込むと
肩に提げて、直也を見た
『"声"消してくれて、どうもありがとう』
あたしは直也に、にっこりと笑顔を作った
『今まで散々してきてくれたことにも、お礼言っとくね』
「美咲…」
『思えば長かったな、あんたに弄ばれた日々…まじで苦痛だった』
あたしは数歩、出口に向かって足を進める
『でももうこれで、あんたとはさよならだね
お世話になりました~』
あたしは扉の取っ手に手をかけた
「…美咲…」
ガチャッと、扉を開ける