向かいのお兄さん
第22章 入り混じり
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あたしはその日、昼間は勉強に費やした
夕方から病院へ、直也に会いに行くんだ
待ち遠しかった
早く夕方になればいい
早く夕方になって
直也に会って
ふっと思い出してくれれば…
ガシャンと筆記用具を放り投げ
あたしは急いで病院へ向かった
ガラ
「あ、美咲ちゃん」
やっぱり
そんなすぐに思い出してもらえるわけがなかった
『…やっほ』
あたしは乱れた髪を整えて、昨日みたいに椅子に座った
フゥッと一息つくと、直也の方を向いた
『何か…思い出した?』
「昨日と一緒だな」
『そっか…』
あたしはそれから取り留めのない話ばかりを始めた
今日の天気はどうとか、今朝のご飯のメニューとか
ふざけているようにしか見えないけれど
今のあたしには、これが精一杯だった