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向かいのお兄さん

第26章 幸せだったんだ





あたしは

何度も瞬きした





『…もう一回…』





「美咲…」





『もう一回…』






「美咲…」






『もぉ…いっかぃ…』





直也は


あたしの目から溢れる涙を


全部全部潰してしまうように




また



抱きしめてくれた
















「美咲…思い出したんだ…俺、嬉しかったって…
美咲からキスしてくれたこと…
死んじゃいそうなくらい…嬉しかったんだって…」





『…』








「待たせてごめん…
俺も…好き、
美咲が好き…」











頭の上で



あたしを

"美咲"

って呼ぶ声が




聞こえるの









信じていい?




直也の全部、また、好きになってもいい?







また


そばにいても






いい?














『直也…直也直也ぁ…直也ぁぁ…ぅえぇえん…ぇええん…』





「そんな泣くなって」









直也はクスッと笑って





もっと強く


抱きしめてくれたんだ
















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