澪―みお―
第1章 ワタシという入れ物
いつからここにいるのだろう。
いつまでここにいればいいのだろう。
ここは果てしなく空を見渡すことができた。
ここからだと遠くにビルがあるのも見える。
そのさきの青い青い海さえもだ。
ワタシは動けないのか動かないのかわからないけれど、確かにここに座っている。
視線を落とすと、すらりとした青白い素足が見える。
膝丈程の目が眩むような白いワンピースのようなものを着ている。
髪は黒く、胸くらいまでに流れている。
顔はワタシには見えないのでわからない。
ワタシの全身は濡れているようだった。
しかし、水滴はワタシを伝い、地面を濡らさずにすぅっと消えてしまう。
ワタシはここに座っているだけ。
両足で空を切って座っているだけ。
ワタシという存在はそれだけなのだ。