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澪―みお―

第3章 葛原 幸次

おれは堪えられなかった。
父親に伝えてしまおう。
そして澪に適度な距離をとってもらおう。
それですべて解決じゃないか。
きっと父親もわかってくれる。
ああ、もうそんな歳になったのかと笑ってくれるに違いないのだ。
それでおれにも平穏が訪れる。美智子にも顔向けできる。

あとはタイミングだけだ。
澪には知られない方がいいだろう。
祖父に知られるのは、気恥ずかしいのかもしれない。
年頃の女の子なのだから。

幼稚なおれは、幼稚な考えしか浮かばずこうして最大の賭けに負けたのだ。

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