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放課後は図書室で

第9章 悲しみと喜びと…

「斉藤君!来てくれてよかったわ…。」


「…すみません、間に合わなかったんです。かなり…やられちゃってて。」


先輩の声に気付いた先生は、立ち止まって振り返ると安心したような声で言った。
先輩は、さっきの声とは違う、少し悲しそうな声だった。


「大丈夫?…ごめん、俺のせいでこんなことになっちゃって…。」


立ち尽くした私の前に回って跪くと、両腕にそっと手をかけて覗き込んだ。

私は俯いたまま先輩を見ないように、首を振った。
先輩の前で泣くまいと思っても、やっぱり涙がこぼれる。

先輩は、指で涙をそっと拭って、頭を撫でてくれた。

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