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放課後は図書室で

第16章 張り詰めた空気

右の手が、暖かくて大きな手に優しく包まれている。

チラッと見る先輩の横顔はいつも通りの優しい顔だったけど、先輩も私も何も喋らなかった。


突然のこの状況にドキドキしながら、手を引かれたまま先輩について行った。


外はすでに暗くなっていて、いつもの公園には誰もいなかった。


「ごめんね、暗くなっちゃったのに。でもちょっと話がしたくて。」


いつも座るベンチに一緒に座ると、先輩が言った。


「…大丈夫です。」


ちょっと首を振って、そっと言うと先輩はふっと笑った。

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