足跡
第10章 愛車
黒光りしたMR2が
決しておしとやかとは
言えない音を立てて
駐車場に現れた
さっきまでふざけていた
Qooの耳が
ピクピク音の方に動く
『どうも、遅くなりました
おはようございます〜』
礼儀正しく
ちょっと緊張した
面持ちの賢さん…
「おは………」
=ウゥー!!ワンワンワンワン!!!===
相棒Qooが激しく吠えた
『あらぁ〜
ワンちゃんも一緒なんだ
(^-^;)
頼もしい君は
何ていうお名前なのかな?』
賢さんがQooの目線まで
屈んで声をかけた
「彼女は
相棒のQooです!」
『そっか〜
Qooちゃん仲良くしようね』
賢さんが
そっと出した手のひらを
恐る恐る匂いを嗅ぐQoo
少しすると
チェックが終わったのか
プィっと向きを変えると
助手席のクッションの上で
丸く寝転んだ
賢さんは苦笑いをしながら
『実は大きな犬が苦手で
Qooちゃんに見破られ
ちゃったかな〜』
と申し訳なさそうに
Qooを眺めていた
「Qooは嫌いな人には
いつまでも吠えている
から…
多分、納得したんだと思いますよ」
…と、すかさず綾香が
フォローをいれる。
『そっか!
なら良かったぁ。
じゃあまだ望みがあるね!どれどれ〜車は…』