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　会場がざわついた｡壇上にいた先生の一人が思わずﾄｷﾘの肩を叩く｡日本有数の名門校でもある蒼経高校では絶対にあってはならないことだ｡

｢……大人達はずっと……ずっと互いがわかりあえることを前提に仲間内の言葉で話してきました｡すでに時代は変わり初めています｡わたしはわたしの決断に責任を持って未来を変えていこうと思います……｣

　ｶﾚﾝは思わず席を立ち上がる｡あってはならないことだった｡

｢会長っ！ わたし……わたし嬉しいです……わたし……会長となら……幸せになれます｣

　ﾄｷﾘの胸に飛び込むｶﾚﾝ｡拍手が会場の半分で起きた｡全員ではない｡だが､それでもよかった｡ｶﾚﾝもﾄｷﾘも満足だ｡

　何かを選択するということは同時に何かを捨てるということ｡そういう当たり前のことがｶﾚﾝもﾄｷﾘもわかっていて､互いのもっとも大切なものを未来のために掴みとったのだから二人は海のように青い綺麗な涙が白い頬を伝うことができた｡