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愛恋縁一方的愛情劇

第3章 監禁?束縛?


…どうしてこんなに嬉しいのだろう…?

どうしてこんなに…涙が溢れるのだろう。



僕以外知らない僕だけの心の傷…。


それに触れたのは、僕以外は惇君が初めてで…、惇君に触れさせたら、なんとなく傷は薄れた気がして。


冷え切った心に、温かいミルクをかけたような…そんな感覚になった。


惇君のこと、恋愛感情で好き?


…違う。


惇君のこと、人間として好き?


…うん。


そんな感じ。

だから、好きと愛してるは違う。


「僕…分からない。」


掠れた声で惇君に言った。


そう、分からない。

本のページにしおりを挟んで、そのページから先を読めないみたいなそんな感触なんだ。


お願い…、殴らないで?

お願い…、分かってください。



僕は惇君に対して、分かって欲しいと本気で思った。


「分からなくていい。俺が分かるように教えてやる。だから、そう後ろ向きになるな。」


惇君は、僕の頭をグシャグシャと混ぜて撫でた。


「…うん。」


返事をしたら、惇君は優しく笑ってくれて、あったかいココアを作って持ってきてくれた。



僕の記憶の中には、こんなに優しい惇君は居なかった。


だけど、この人は本物だって思った。


猫被ってる訳でもなく、同情で無理矢理優しくしてるとか、そんなんじゃなくて、自然な感じがした。



僕を思ってるから、こんな風に優しくしているんだってよく分かる。


「ありがとう。」


ココアを手にとり、礼を言うと、惇君はおでこにキスをしてくれて…、また顔が赤くなるのはなんでかも僕は知らない。

分からない。



惇君は、僕が好きだからキスをするのかな…?


惇君は、僕が好きだから、エッチなこともするのかな…?



僕は、本当に無知だと思う。


初恋が彼だったおかげで、ろくに女の子と恋に落ちたこともないし、周りがキスやセックスをしたという話を聞いたことがあるだけだった。


逆にとってみれば、彼が僕を抱いたりキスをしなかったって事は、彼にとって僕は抱いたりキスをするほどの人間じゃなかったってことなんだよね。


「はぁ…」


僕は、ココアを飲みながら考えにふけていた。


そんな僕の姿を、惇君が見守ってるなんて気付かない。


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