テキストサイズ

チェーンな2人

第2章 もう、お別れなんて…

楽しい時間は
本当にあっという間に
過ぎてくな…





夕方の飛行機に乗るため
空港へと向かう電車の中
彼女は
ちょっと
口数が少ない


窓から見える景色に
見とれている振りをして
潤んだ瞳を
俺に見せないようにしている



お前
今、必死で我慢してるけど
今日絶対泣くだろ?
俺だって泣きたいけどな



そう思うと
たまらなくなり
繋いだ手に
グッと力を込めた

するとお前は
俺に背を向け
更に窓の外を見つめた



あぁ
涙、こぼれたのか…
ごめんな



露店で
指輪買ってやった時は
あんなに笑顔だったのにな

一緒に映画を見ながら
ずっと手を握ってやった時は
あんなに満足そうだったのにな

俺が抱きしめると
猫のように
甘えた声で
幸せって言ってたのにな

ごめんな








『大丈夫か?』


『……』(無言でうなずく)


『泣いてんのか?』


『……』


彼女は
そのままうつ向き
少し声をもらしながら
泣き出してしまった


彼女の頭に手をあて
背けた顔を
俺の肩に押し当てた
彼女は抵抗せず
俺の肩に顔をうずめた
けどすぐに


『あ、汚れちゃう』


と、顔をあげた


俺は
手で涙を拭ってやりながら

『いいよ』

と、優しく言って
肩に顔をうずめさせたら
彼女は頬をスリ寄せてきた



そんな顔すんなよ
俺、どうすればいいんだよ…
どうにもできないのに…









もっと一緒に居たい
少しでも
お前のそばに居たい

1時間でも
30分でも
10分でもいい

お前が
うれしいと思うことを
してやりたいよ

お前の
喜ぶ顔
もっと見たいんだ
目に焼き付けて
帰らないと
明日からの毎日
乗り越えられないよ…














どうすりゃいいんだ……














ストーリーメニュー

TOPTOPへ