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気になるアイツ

第11章 理由

「今のお父さん、いい人だよね。お母さん幸せそうだもん。でも私は…」

梨江子は視線をそらした。

「…ちょっとした遊びのつもりだったの。メイクして、友達と夜まで遊んで。それだけのつもりだった」

子供がイタズラを見つけられて言い訳をしてるみたいに、梨江子は早口になった。

「メイクをしたら誰も私だって気づかない。それが楽しくて…一度お母さんとすれ違ったこともあるよ?でも全然バレなかった」

梨江子の目から涙が溢れた。

「楽しい反面、寂しくなっちゃった。寂しくて誰かにそばにいてほしくて…………でも、まさかおにいちゃんにバレると思ってなかったから、焦っちゃった」

眼鏡を外して涙を拭う、無理に笑おうとしてるのか頬が震えていた。


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