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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「小内君、先に戻っていて下さい。」

「はい。」

電話を受け取り、来た道を引き返す。

「失礼します。」

「どうぞ。」

留架様のお部屋に入ると、空様と春架様もいらっしゃっていた。

「あ、三神だ~!!」

「どうしたの? 忘れ物?」

不思議そうに首を傾げた留架様。

「いえ…ニック様にお電話です。」

「………………誰?」

面倒くさいのでしょう。

ニック様は顔をしかめられた。

「お父様からです。」

「親父…?」

驚いたような表情を浮かべられた後、ニック様は電話を耳に当てながら部屋を出ていかれた。

「ニックのお父さんから電話なんて、珍しいね。 仕事のことかな?」

「私は、これで失礼します。」

そういえば、リチャード様は仕事をされているのだろうか。

最近は、彼女と遊びに出掛けてばかりで、仕事をしている姿を見ていない。

「……………わかったよ。 じゃあな。」

廊下に出ると、ちょうどニック様の電話が終わったところだった。

「はぁ…三神。」

「あ、はい。 なんですか?」

表情から察するに、いい話ではない。

「明日から一ヶ月、向こうに戻ることになった。」

「ぇ…」

一ヶ月…?

随分長い出張だ。

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