BL~中編・長編集~
第3章 ~ずっと想い続けます~
僕には大好きな恋人がいます。
その人の名前はクロ。
近所に住んでる野良犬の中では一番強いんだ。
真っ黒な髪と、髪と同じで真っ黒な瞳。
犬にしては色白で、顔もきれいでとってもかっこいいの。
そんな人がなんで僕なんかの恋人なのかって?
それはね、話せば長くなるんだけど・・・
簡単に言うと、僕が一目惚れしっちゃたんだ。
僕が近所のいじめっ子の猫に囲まれてる時、クロが助けてくれたの。
クロの事、みんなは怖い犬って言うけど、そんなことないと思うんだ。
だって、優しくなかったら、見ず知らずの猫なんて助けるわけないもん。
ほんとはとっても優しい犬なの。
助けてもらった時、怖くて震えてる僕に、クロは優しく微笑んで言ったんだ。
「もう大丈夫だよ。」
って。
その時見た笑顔に、僕は恋をしちゃったの。
でも、弱虫で泣き虫な僕は告白なんてこと出来なくて、可愛い女の子に囲まれてるクロを、いつも遠目から見てるしかなかった。
クロの事を見るようになってから一か月くらい経った時だったかな?
僕はあれからずっとクロの事を見てたけど、一回もあの笑顔を見ることはなかった。