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秘書のお仕事

第2章 屈辱





『…』




あたしは床に膝をつき、手もついた


そしてゆっくり、社長の高そうな革靴に顔を近づけた





『…』





さらば、あたしのプライド…




あたしは舌先を少しだし、靴の先をペロリと舐めた





「お、よくやったな」




ニヤニヤと笑う顔と向き合うようにして、あたしは立ち上がった





『これで、いいですね』




敵意剥き出しで、あたしは社長を睨みつけた



「ああ、満足だ」



『それでは失礼します!!』



喧嘩腰にそう言うと、あたしは社長室を出ていこうとした





「おい、待て」



『何でしょうか!!??』





あたしはガッと振り返った





「どこ行くんだ」



『どこって、新入社員控え室ですが!!!』




「あれ、言ってなかったか?
お前の仕事は俺の秘書だ」




『…え?』





どうせ、会計か何かだろうと思っていた自分が秘書だなんて驚いたけれど、
すぐに憎しみと喜びがグツグツと沸いてきた





いや、喜びの方が勝っていたかな?



社長の秘書なんて、給料も高そうだし

何より、こいつのそばに付きっ切りってことは、
こいつを屈辱という沼に陥れる機会も増えるということ…





『秘書…ですか』




「ああ、仕事内容は山田から教われ」





あたしは作り笑いを見せた




『かしこまりました。それではこれからは、宜しくお願いします』




「誠心誠意、働け」





社長はでかい態度で、懐からタバコを取り出して吸った







ここからあたしの、闘いが始まったのだ―――――












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