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秘書のお仕事

第2章 屈辱






『?』





パソコンの後ろから、人が顔を出したかと思うと

その人は立ち上がってこっちへ歩いてきた





『あ、あなたは…!!』




「やぁ、久しぶり」




間違いなく、あたしが面接を受けたときの面接官だった





『あれ、ここは…どこですか?』



戸惑うあたしを、面接官だった男は上から下までじっくりと見てきた




や…やっぱり、この人、背が高かったんだな…





「ふーん…」





一通りあたしを眺め終えると、面接官だった男は鼻で笑った





「安っぽいスーツだな」



カッチーン



『なっ、何なんですかあなた!!それってちょっと失礼なんじゃないですか!?』





このスーツはまだ着たばっかりで、しかも気に入ってたのに…

"安っぽい"って、うぜー!!







「怒るな、そんで、ちゃんと足閉じろ」





あたしは怒ると、つい仁王立ちになってしまう癖がある



自分でも気付いている欠点を指摘され、悔しがって足を閉じた




『謝って下さい!!
人のこと馬鹿にしないで下さい!!』





あたしは拳をギリギリと握りながら、男に怒鳴った




男はあたしを見て、クスクスと笑う



顔面殴ってやりたい…





『いい加減にしないと、ほんとに殴り…』



「山田、下がってろ」


「はい、菊地社長」




『…ます…よ…』





え?






山田というおじいさんがバタンと扉を閉めた音で、あたしは我に返った






『あ…えっと…あの…』





「どうした、さっきまでの威勢はどこ行ったんだ?」






『…社長…様…?』






男は満足げに、口の端を持ち上げた




「殴るんじゃないのか?」





あたしは、ここまで血の気の引く思いをしたのは初めてだった









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