向かいのお兄さん
第9章 祭
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その日は朝から、町中に花火の音が響いた
天候も良好で、春祭決行の合図だ
遥との約束の時間は夕方の5時
それまでにあたしは、お母さんに浴衣を着付けてもらう
『く…苦しい…ぐふぁ』
「ちょっとは我慢しなさい」
ぐいぐいと帯を巻き付けてくるお母さん
祭の間に吐いたらどうするんですか
「よし、可愛くできた~、さあ行ってらっしゃい」
最後にあたしの肩をポンッと叩き、お母さんはニッコリと笑った
『うん、ありがと』
丁度インターホンが鳴った
遥が来たようだ
あたしは鞄を持ち、下駄を引っ掛けて玄関の扉を開けた
「お待たせー、あっ、美咲って浴衣似合うねー///」
『遥もなかなか色っぽいですよー?』
クスクスと笑いながら、あたしと遥は
賑わった場所まで歩いていった