向かいのお兄さん
第9章 祭
ドーンッ
暗い空いっぱいに、鮮やかな色が咲いた
「たーまや~!!」
「今年、初花火!!」
遥も他のみんなも、次々に空に咲く花にくぎ付けになった
あたしは、後ろで立ちすくむだけ
結局あたしも
見取れていたんだ
「なぁなぁ」
直也は、ポンポンとあたしの肩を叩いた
目をやると、直也は花火を指差した
「美咲」
『…は?』
もう一度花火を指差し
「美咲」
と言った
『…』
言いたいこと
何となくわかった
『全然笑えない』
「笑わなくていい」
直也はその場に腰を下ろした
走り疲れたので、あたしも軽く座った