向かいのお兄さん
第12章 洗わなきゃ
あたしはもじもじとしたまま、浴室へと入った
後に続いて、直也も入ってくる
あたしの肩を押してきたので、あたしはマットの上にペタリと座った
「ちゃんと洗わなきゃな、隅々まで」
『す…隅々まで…?』
「おう、す・み・ず・み・まで」
ニコ~ッと素敵な笑顔を向けられるが
今まで一度として、その顔を見ていいことがあった試しがない
直也はシャワーを出し、お湯が出てきたことを確認すると
あたしの首の後ろ辺りから、お湯を浴びせていった
『…』
暖かい感じが、なんとも言えず気持ち良い
うっかり眠気まで襲ってくる
しかし、一通り体にお湯を浴びせ終えると
直也はシャワーを止めた
そしてボディーソープを手にいっぱい取り
その大きな手でクルクルと泡立てていった