向かいのお兄さん
第16章 合コンなんて
すると突然、直也の携帯のバイブ音が鳴った
半ば投げやりな様子で、直也は電話に出る
「もしもし、あ、和樹?」
『…』
あたしは何となく、直也と和樹の会話に耳を傾けた
和樹の声は大きく、離れていてもよく聞こえる
《あのさー、今度土曜に仕事終わってから、合コン行かね!?》
『…ごうこん…』
何であたしは、ここで呟いたんだ?
「何で?数合わせならやだから」
《違う違う、まじでさ!!かっちゃんとか、泰造も来るんだぞ?》
かっちゃんと泰造とは、同業者の名前
つまり、イケメン労働者の一員の名前だ
「へぇ、じゃあかなりマジなんだな」
《だからそう言ってんじゃん!!》
「…まあ、俺はいいや、欠席~…っいででで」
あたしは直也の顔をつねった
「何だよ?」
直也は携帯を耳から離しながら、あたしの方を向いた