向かいのお兄さん
第22章 入り混じり
『直也…嘘だよね、あたし…冗談嫌いなんだよ?』
あたしは一歩一歩、踏み締めるように直也に近づいた
「…?」
とぼけた顔に
殴ってやりたくなる
『ねぇ直也…』
「君、まだ診察中だから…」と医者はあたしを後ろにやろうとするけれど
あたしはその手をくぐり抜けて
直也の手を思いっきり掴んだ
『ふざけんなっつってんの!!どんだけあたしを脅かしたら気が済むわけ!!??』
「え、…え…?」
戸惑う直也に
嘘が見えない
嫌だよ
ねぇ、そんなの嫌だよ
『ねぇ直也!!!』
「患者から離れて下さい!!」
周りの人たちに引っ張られ
あたしは病室を追い出された
「診察結果が出るまで、入室しないように」
ピシャリと言われ、強く扉を閉められた
『直…也…』
神様…
あたしはこんなこと
望んでなかった…