向かいのお兄さん
第23章 ごめんね
「え…」
『…』
直也は戸惑いながら、あたしの顔を見た
ここまでしておきながら、何を今さら止める必要があるのか
不思議に思ったに違いない
「あの…美咲ちゃ…」
『ごめんね…』
あたしから誘っておいて
最低だな
『それはまだ出来なぃよ…』
あんたがあたしを想って残してくれた初めてを
今はまだ…
『ごめんねぇ…』
また溢れる涙
いい加減にしてほしい
「…そ、だよな…ごめん」
直也はあたしの手を下ろさせると
ベッドから降りようとした
『…どこ行くの?』
「…トイレ…さすがに処理しなきゃ…」
何となく恥ずかしそうにする直也を
あたしはベッドに座らせた
「…美咲ちゃん?」
『あたしが…してあげるから…』