向かいのお兄さん
第2章 向かいのお兄さん
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「美咲、お願いがあるんだけど」
ソファーに寝転がって英語の単語帳を見ている、そんな熱心に勉強していたあたしに向かって
お母さんが頼み事をしてきた
『何?』
顔を見るのもめんどくさい
あたしは単語を目で追いながら返事をした
「これ、お向かいの佐藤さんとこ持ってって」
ボンッと置かれた
"京饅頭"
『…何これ?』
「おばあちゃんが旅行の土産に買ってきたのよ」
『何であたしが行かなきゃなんないの?』
「暇そうだし」
どこが!!??
『はいはい、はいはい、はいはい、行けばいいんでしょ?』
あたしは単語帳をバサッと投げ捨て、京饅頭の入った小包を持った
「"はい"が多くない?」
いちいち言うな