向かいのお兄さん
第39章 元通り
「寺内君って誰?」
直也が聞いた
「直也には、教えない」
少し…
笑った気もした
由紀はそれだけ言うと、直也たちの視界から消えた
―――
「それでさ、直也…」
「かっちゃんの話は聞きたくない」
もうこれの一点張りだ
かっちゃんも苦笑してしまう
「和樹に聞いたんだけど、10万払ったら美咲ちゃんとエッチさせてくれんの?」
「最後以外ならな。でもそれは和樹だけの特権だから」
「え~」
不満そうな視線が、かっちゃんから和樹に注がれる
「な、何で俺を睨むわけ!?」
「まあ和樹でも、今日はだめ」
直也は荷物を持って立ち上がった
「今夜は俺の貸し切りだから」
嬉しそうに笑みを作り、職場をあとにした